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  • kujira-takahama

日本各地で根付く鯨肉の食文化、っていうお話(後編)

Updated: Jun 25, 2023


今回も特色ある、個性豊かな鯨肉郷土料理を調べてみました!

まいどおおきに。大阪の中央卸売市場で鯨肉の仲卸をやってる高浜康子です。

新しい年が、もう1カ月も過ぎてしもたね。いや~、ほんま月日が経つの早すぎる!

さて前々回のブログで、鯨肉を使った郷土料理について紹介したんやけど、読んでくれました?

日本各地で、バラエティに富んだクジラ料理が長く受け継がれてきてるんですよね。

それに、料理だけじゃなくて季節行事として残っていたり、お祭りやイベントの中に必要な物として残ってるって、嬉しいことやね〜。

この前もラジオ関西さんから、鯨肉の文化について高浜商店へ取材に来てくださったり、その放送の中でも共同船舶(株)さんが鯨肉の自販機を日本全国に展開するって話もあったし、もっともっと身近になっていくんかな。

これまた嬉しいことやね〜。

最近、市場近くの「洋食 やなぎ」さんの鯨肉メニュー率が上がってきました。市場近くでお安く美味しく食べれるお店があるって、ありがたいことです。

皆さんも行ってね〜。


◆radikoでも聞けるので聞いてみてね〜

「ラジオ関西 Clip」で記事にもなってます。


今回は鯨肉の郷土料理のお話の後編として、またいくつか紹介したいと思います。

鯨肉の郷土料理のお話、ちょっと読んでみたって~。




 

【目次】


 

和歌山県「農山漁村の郷土料理百選」の「鯨の竜田揚げ」


捕鯨の町として世界的に有名な和歌山県の太地町は、日本の古式捕鯨発祥の地としても知られてます。江戸時代、日本で最初に組織的、商業的に船団を組んで捕鯨を行ったのが、和歌山県太地の和田一族の和田頼元と言われてるんやて。

1606年(慶長11年)、捕鯨専業の「鯨組」という組織が設立され、刺手組と呼ばれる団体が和田一族を中心に構成されて、太地浦を拠点に活動したそう。1675年(延宝3年)には和田頼治が、鯨を網に追い込む「網捕法」と呼ばれる捕鯨法を開発したんやて。

明治時代には捕鯨も近代化されて、捕鯨銃による沿岸捕鯨や、鯨解体場・鯨基地・鯨缶詰工場の建設などが行われるようになり、太地町の水産業が発展したそうです。


だから、鯨料理も歴史があるんですね。

和歌山県の「鯨の竜田揚げ」は、農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」に選定されているんですって。全国各地の郷土料理のうち、農山漁村で脈々と受け継がれ、かつ国民的に支持されうる料理として認められたってこと。

すごいよね〜。

ひと口大に切った鯨肉に醤油やしょうがなどで下味をつけ、片栗粉をまぶして油で揚げる料理で、給食でも人気メニューやったよね。国のお墨付きの郷土料理やったんやね、知らんかったわ~!

<写真>photoAC 「和歌山県太地町 太地町立くじらの博物館」

<参考サイト>


・和歌山県の郷土料理|(選定料理)鯨の竜田揚げ


・にっぽんの郷土料理観光事典



 

千葉県② 鯨愛あふれる南房総地域の鯨肉の新メニュー


前回のブログで千葉県の「くじらのたれ」っていう郷土料理を紹介させてもらいましたが、まだまだ、千葉県には鯨料理について、いろいろありました!

関東で唯一の沿岸捕鯨基地がある南房総市と書きましたが、南房総市にある道の駅 「和田浦 WA・O!」には、気軽に鯨肉を食べることが出来るメニューがたくさんあるそうです。

道の駅がある和田町は、歴史ある「クジラの町」で、町に面している和田浦の海では昔から鯨漁が盛んだったこともあり、様々な鯨料理も発展してきたとのことです。

なるほど。

そんな和田浦の名物、鯨の魅力をたくさんの人に知ってもらおうと始められたのがきっかけで、新しいメニューもたくさんあるそうです。

地元産ツチ鯨を使った「くじらコロッケ」に「クジラ肉まん」、レストランでは「クジラ竜田揚げ定食」をはじめ「和田浜クジラカレー」、「和田浜特製クジラ丼」などもあるそうですよ。さらに、「くじらのたれ」(=鯨肉を秘伝のタレに漬け込んだ乾物)も何種類も揃っているそうです。


道の駅 「和田浦 WA・O!」では、様々なクジラに関する加工食品も販売してるんやって。

一回は行ってみたいな〜。

<写真>PIXTA 「千葉県南房総市和田町 道の駅 和田浦 WA・O!」


<参考サイト>


・くじらタウン|耳ヨリくじら情報



 

北日本 食べ比べしてみたい!ご当地の「くじら汁」


鯨肉と野菜を汁ものにして味わう「くじら汁」は、いろんな地域で郷土料理とされてます。でも味付けや具材、食べる時期なんかは地域ごとに違うみたいです。いろいろありますね〜。


《北海道・道南地域》 正月料理として、鯨肉と野菜を大鍋で煮込んでつくるんやって。

醬油仕立てが一般的だそうですが、塩味や味噌味で食べる家庭もあるらしいわ。三が日の間に何度も温めなおすから、煮崩れしにくい山菜や大根、シイタケ、サトイモなどが使われるんやって。

鯨肉は、厳しい冬を乗り切るために保存食として作られてた塩蔵のものを使うそうです。

今でも、年末にはスーパーで塩クジラがたくさん並ぶそうですよ。

この地域では江戸時代後期から明治時代にかけてニシン漁が盛んで、ニシンを岸に追い込んでくれるクジラは縁起の良い動物とされたそう。ニシン漁が初春から始まるので、豊漁を祈願してお正月にくじら汁を食べてきたと言われてます。

大きなクジラを食べて大物になるようにという縁起かつぎの意味もあるらしいですよ。


《福島県・会津地方》 塩漬けにしたクジラの皮と、新ジャガイモや新タマネギなどの夏野菜を一緒に入れて味噌汁にします。

その昔、西日本で獲れたクジラが塩漬けにされ、北前船で新潟まで運ばれてきててん。それが阿賀川(あかがわ)を経由して広まったことから、この川沿いの地域で多く食べられてきたそうです。

クジラの皮の脂肪には、健康に良いとされる不飽和脂肪酸が豊富に含まれてるから、くじら汁は真夏の暑い時期にスタミナ食として食べられてたんやって。


《山形県・内陸地方》 こちらでも新ジャガイモが出回る季節にくじら汁が食べられてきたんやて。

海から遠い内陸でも、クジラ汁が郷土料理として受け継がれてるのは面白いですよね。

高温多湿の暑い夏を、栄養豊富な鯨肉を使ったくじら汁で乗り切る、先人の知恵やね!


《新潟県》 塩漬けにしたクジラの皮の脂身を、野菜と一緒に煮ます。味噌仕立てが主流やけど、醤油味の場合も。

こってりとした味わいで、ナスやミョウガなどの夏野菜を入れるほか、長岡市の辺りではカンピョウの材料になるユウガオを入れることも多いそう。

最近は家庭で作られることが減ったけど、居酒屋などでも食べられたり、給食メニューに取り入れられたりしてるんやって。


う~ん、どれも美味しそう!ほんまいろいろありますね。探せばもっと色んな地域でありそうですね。

いろんな地域のくじら汁を食べ比べしてみたいわ~。


<参考サイト>


・農林水産省「うちの郷土料理」北海道 鯨汁


・農林水産省「うちの郷土料理」新潟県 くじら汁


・福島県 郷土食


・山形新聞 県内 ご当地味覚


・新潟食品名産図鑑



 

大阪府② やわらかく煮込んで美味!おでんの「コロ」


寒い季節にうれしい「おでん」も、各地で味付けや具材が異なる料理として知られてますよね。

おでんの発祥は室町時代、豆腐の味噌焼きを串に刺したものと言われてるんやて。

今で言う「田楽」やね。

いろんな具材を煮込む今みたいな「おでん」が登場したのは、江戸時代頃やそうです。

身近な食材を煮込むというシンプルな調理法が受けて、あっという間に全国に広まり、地域ごとに独自の味付けや具材が定着していったんやって。

関西ではその昔「おでん」と言えば「田楽」のことを指してたんやそう。

今でも大阪のおでんは「関東炊き」「関東煮」と呼ばれることもあるよね。

その理由は、関東から伝わった煮物という意味でこの名前が付いたとか、関東大震災で関西に移住してきた関東人が広めたとか、いろんな説があるんやて。


大阪おでんは、昆布とカツオ節のだしに、薄口しょうゆを使った甘めの味付けが特長。

そして、ちょっと前まではクジラの「コロ」や「サエズリ」が家庭でも定番の具材やったんですよ!

「コロ」とは、クジラの皮下脂肪の分厚い部分を鯨油で揚げて乾燥させたもの。これを下ゆでして臭みを抜き、だしでグツグツ煮込みます。コラーゲンたっぷりでクセがなく、だしの旨みを含んだもちもち食感が楽しめます。

「サエズリ」は、クジラの舌の部分。こちらも独特の食感で、噛むと口の中で小鳥がさえずってるような音を立てるのが名前の由来と言われてるんやって。

今でも大阪のおでん専門店で「コロ」や「サエズリ」を味わえるお店が結構あるから、機会があったらぜひ食べてみてね~!


<参考サイト>


・大阪鍋物語


・大阪おでんの「コロ」って何?


・関東のおでんとはちょっと違う!大阪の名物「関東煮」って?


・日本のご当地おでん


・全国でのおでんの地域差が面白い!地域によって全然違う具や味付けを探ります。


・クジラのコロはご存じですか?


・食材と利用されてきたクジラ!コロとは、どんな部位?



 

2月15日(水)『くじらフェス』へいらっしゃ〜い!


2023年2月15日(水)、会場:ヒルトン大阪5階、時間:12時〜17時

『くじらフェスOSAKA 2023』が開催されます。

特に鯨肉に興味のある販売店や飲食店さん向けのイベントが開催されるそうです!


くじらフェスOSAKA2023
くじらフェスOSAKA2023

そして、なんと、なんと!

高浜商店も出店させていただきま〜す!

ぜひ遊びに来てね。

会場でお会いしましょう。

くじらフェスOSAKA2023
くじらフェスOSAKA2023

来場には予約が必要なんだそうですので、必ず予約してお越しください。



 

<鯨肉を食べるならこのお店>


大阪市西区江戸堀 「おでんの店 壱の蔵」さん



大阪市中央卸売市場本場のめっちゃ近く!歩いて行ける!そんな近所にある、大人気のお店「おでんの店 壱の蔵」さん。

お目当てはもちろん、高浜商店から仕入れてくれてるクジラの本皮を使った「コロ」

「なにっこれ?!」

って、その美味しさと柔らかさと優しさに驚きますよ。ほんま、マジで。

「クジラベーコン」もあって嬉しい限りです!



取材に伺った日も、まだ夕方回ったところの6時過ぎというのに、サラリーマン風の男性でお店はいっぱい!カウンターの中には大将1人にお姐さんたちが3人の計4人で切り盛りされてるねんけど、まあ、あっちこっちから注文が飛んでくるから、次々おでんの具材を出汁に入れては器に盛り付け、盛り付けては具材を入れてを繰り返し、めまぐるしく調理されていました。

でも、食べて納得ですよ!!

優しい出汁の味わいに、おでんの具材がお酒に合うわ〜


 「おでんの店 壱の蔵

大阪府大阪市西区江戸堀3-7-13

電話:06-6441-2638

地下鉄阿波座駅9番出口徒歩3分




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